リークテスト用真空チャンバー内にセットされたバッテリーセルで漏れが生じた場合、溶媒を揮発させて電池から抽出し、適切な質量分析計を用いて漏れの程度を定量的に測定することができます。
Leak B-Tracerの主な構造は、アルミニウム製設備架台と設備ベースで構成された頑健なものとなっています。ステーションは Lexan(レキサン)製の安全柵で囲われており、ロード/アンロード側にはインターロック式の安全スイッチを備えたドアが設置されています。制御盤、測定機器、リークテスト用治具などは、設備の内部に組み込まれています。
自動化テスト用治具には以下が備わっています:
- 異なるバッテリーの種類の手動段取り用に取り外し可能な下部トレイが2枚あり、セルをバッチでまとめて投入可能です。どちらも真空チャンバーを密閉するためのガスケットを備えており、部品の正確な位置決めやチャンバー内容積の低減といった工夫がなされています。
- 下部トレイを左右に移動させるための空気圧式水平スライダーが1台(下部トレイは常にテスト位置にあり、他のトレイはロード/アンロード位置として、治具の左右に1つずつ)あります。
- 中央に配置されたユニットには、下部トレイを持ち上げるとともに真空チャンバーが閉じられるように、取り外し可能な上部カバー(異なるバッテリーセルへの手動段取り用)を備えています。
- 下部トレイをテスト位置まで昇降させるとともに、上部カバーに対して真空チャンバーを開閉させる空気圧式リフターがあります。
テストするセルの数や種類は、新たな仕様追加があった場合に、下部トレイ2つを手動で組み替えることで簡単に変更できます。それにより、Leak B-Tracerはあらゆる種類のセル(角型、円筒型、ボタン型、パウチ型)に適用することができます。
当設備は、あらゆる種類の電解液(DMC、EMC、PP...)に容易に対応可能です。
さらに測定においては、原子質量単位(Atomic Mass Unit, AMU)スキャン法を用いることで、溶媒組成が未知でもトレースすべき正しいAMU値を簡単に特定することができます。
Leak B-Tracerには、工業用ゲージコンピュータであるMerlin Plusに接続された質量分析計と、測定サイクルの管理およびテストデータ保存用のマーポスSOLTソフトウェアからなるマーポスの「高速応答システム」ソリューションが備えられています。
IPCはローカルデータの保存や統計に使用することもできます。
テストした部品ごとに、IPCのローカルストレージに以下のデータを保存することができます:
- テスト実施日時
- 結果(合格/不合格)
- 実際のテスト圧力値
- リーク値
- テストパラメータ(テスト圧力、不良判定閾値)
設備の密閉性と測定機器精度の定期的な確認は、認証済み「リークマスター」を用いて行われます。
規定の不良判定閾値に近いリーク値に設計されたリークマスターには、実際のバッテリーセルの電解液トレースに使用されるものと同じ溶媒が充填されます。測定システムの校正を必要とせず、システムの機能を確認するためにマスターサイクルが必要な場合には、作業員が手動で投入します。
グロスリーク検出システムを合わせて備えることで、大漏れがあるセルのサイクルタイムロスを低減し、微小テスト段階での高濃度溶媒漏洩による汚染から質量分析計を保護することもできます。
使用目的:
• 試作品やパイロットラインでのリークテスト
• オフラインテストとSPC分析
• 量産工程で生じた不良品の再テスト
マーポスの電解液トレース技術とオートメーションに関する専門知識を組み合わせることで、これらをバッテリーセル量産ラインに組み込むためのソリューションとして提供することが可能であり、より厳しいサイクルタイム要件を満たすことができます。
- 真空チャンバーの簡単な段取り替えによるあらゆる種類のセル(角型、円筒型、ボタン型、パウチ型)への適用
- 電解液充填後や封止後など、工程のどの段階でもテストが可能
- さまざまな電解液溶媒種類への適用
- 必要な生産サイクルへの対応
- グロスリークテストによるチャンバー/機器汚染防止
- 最大チャンバーサイズ: 幅280 mm × 奥行き160 mm × 高さ250 mm
- 標準的なサイクルタイム: 15~60秒*
- 電解液の種類: DMC/EMC/DEC/MB/EA/EC/PP/PC/その他
*バッテリーの種類、サイズ、セル数により異なります。
- 円筒型セルとボタン型セルのテスト
セルの大きさに応じて設計された、さまざまなツールを提供することができます。
- 角型セルのテスト
セルの大きさに応じて設計された、さまざまなツールを提供することができます。
- パウチ型セルのテスト
パウチ型セルのテストをこの方法で実施するには、特殊な治具を使用する必要があります。真空チャンバー内のパウチの膨張を避けるため、テスト中はセルをしっかりと把持する必要があります。このテストでは、特に重要なセルの縁全体に沿った溶接部の漏れの有無を検出することができます。