概要
バッテリーパックは、電気自動車の最も複雑なコンポーネントの1つです。蓄電池は、本質的に具体的な要素の集合体であり、モジュール中のセル、バッテリーパック中のモジュールの集積によって構成されています。つまり、各要素が持つ性能、限界、誤差、耐用期間それぞれの総和であり、基本的に、各要素の公称データが同じであっても、きわめて異なる可能性がある特性の総和と言えます。
そのため、動力、エネルギー、航続距離、寿命、安全性を最適化するために、蓄電池の構成要素のバランスが製造における重要なポイントになります。
はじめに
蓄電池は、長きにわたり日常生活の中で多くの機器の電源として一般的に使われてきました。リモコン操作のミニカーから実際の自動車まで、モビリティの進化によって、アプリケーション、性能、充電の概念を新たな「次元」に拡張する検討を余儀なくされました。1.5 V、400 mAhであれば無視できると考えられていたものが、現在では単体セルで平均値で4 V、150 Ahにまで増幅されています。動力が大きくなるほど、考慮すべき現象は大きくなります。
もう1つの重要な変数は、蓄電池の品質に依存するため、注意を払う必要があり、それは環境とアキュムレーター自体の両方の温度です。実際に、現在要求されている重要な電流は、ジュール効果によってアキュムレーターの化学的特性と電気特性に影響します。さらに、日々の気温や季節的な変動は重要な外部変数となり、特にモビリティにはそれが当てはまります。
このような側面と、主に品質と信頼性に基づく市場競合のルールが組み合わさり、工業界ではバッテリー製造チェーンに新たな管理とテストが導入されるようになりました。
バッテリーは、それ自体が実存の集合体を意味しており、セルがモジュールに結合し、モジュールがバッテリーパックに結合しています。各要素が持つ性能、限界、誤差、耐用期間それぞれの総和が生まれ、基本的に、各構成要素の公称データが同じであっても大きく異なる可能性がある特性の総和となります。テストが生産の重要なステップになる第1の理由は、蓄電池の構成要素のバランス、またはその管理にあります。
さらに、アキュムレーターの性能を最大限に引き出し、早期の劣化を防ぐために、バッテリーの論理的な管理について知る必要があります。バッテリーの効率性、寿命、熱安定性、安全性を維持するためには、バッテリー管理システム(BMS)、すなわちセルとの間でのエネルギーの流れと分配を調整する組み込み型ロジック装置に依存しています。
BMSは動作変数を収集、評価することで、単体バッテリーセルへの電流供給を調整し、安全性と健全性を最適化するよう監視します。BMSはバッテリー管理における現在の規範システムであり、蓄電池のいかなる損傷も回避する傾向がありますが、一方で全体的な性能を制約することになります。
充電状態
BMSがセルの充電状態(いわゆるSOC)のバランスを取る役割を担っていても、考慮すべき変数が他にもいくつかあることから、理想の最適な結果に到達することはできません。
BMSは、バッテリーパック構成要素を物理的な実体として本質的に特徴付けるパラメーターを利用しながら作動します。BMSはそれらのパラメーター値を取得して計算することで最善の蓄電池の管理を行いますが、残念ながら、バッテリーパック全体の中で最も弱い1つの要素に対してその出力(充電と放電の観点から)を平準化して実行します。
このように、BMSが行うのはデータの収集だけであり、それに対して介入する可能性はありません。BMSが最大の性能を発揮できるように、同じモジュール内にある構成素子の均質性を保証するには、セルとモジュールの予備評価および連続した/選別によって、同じ主要機能を持つ蓄電池のセットを組み合わせることが基本になります。
最も必要とされる測定には、開回路電圧テスト(いわゆるOCV)、交流(いわゆるACIRまたはより詳細なEIS電気化学インピーダンス分光法)または直流(いわゆるDCIR)による内部抵抗評価、そして筐体絶縁(いわゆる高電圧(HiPot)試験または絶縁耐力テスト)があります。
健全性
しかし上記のテストは、単に蓄電池の健全性には一切関係なく、あくまでも状態を把握するためのものです。バッテリーの健全性(SOH)を推定することもまた重要になります。健全性は、バッテリーが電気エネルギーを蓄積し供給する能力を、新品バッテリーとの比較で表す指標です。
このため、当社の研究では、モニタリングされた経時変化期間とその結果としての正常化期間の後に、同じテストを実施することを提唱しています。経時変化は、慣らし運転の役割を果たし、蓄電池を活性化させ安定させるための一連の充電、放電サイクルの繰り返しです。一方で正規化は、放電/充電の1サイクルから成る短いタスクで、蓄電池を既知の充電状態に固定することです。このように、上記に説明したテストはある時点の状態を示すに過ぎませんが、これらは現在、動的なオペレーションの長期的なモニタリングチェーンにおける最後のステップとなっています。特にこの手順が推奨されるのは、セル製造からモジュール/バッテリーパック組み立てに至る間に、倉庫での長期間保管や長期間の輸送を経た納品のために蓄電池を非稼働状態のままにする場合です。というのも、その静止状態によって蓄電池本来のコンディションが変化するからです。
マーポスのアプローチ
この最後の方法は、規格でもなければ技術的な規制でもありません。これは、マーポスがこのテーマについて詳しく調査研究を行った末に見出した、ベストアプローチです。
実際にマーポスは専門の開発チームを結成し、すでに成熟している専門知識を新しい成果やノウハウに適合させた、新たな工業アプリケーションを研究することを目指しています。この挑戦において、マーポスは大学、サプライヤー、もちろんお客様を含む技術パートナーと連携しました。お客様のニーズを理解することは、市場から有用性を高く評価されるソリューションを実現するために課題と向かい合う際の、基本的な方法です。マーポスは積極的に目的意識を持ちながら行動しています。マーポス思想の付加価値は、試験を実施することではなく試験の信頼性を保証する点にあります。
この目的のために、マーポスはリファレンスゲージ接続手順を開発しており、テストステーションがそのライフサイクル全体にわたり正確に機能することをチェックできるようにしています。
もちろん、理論の先には実践があります。蓄電池をテストするためのソリューションの実現には、テスト方法の適用だけでなく、市場を通じて選ばれる最も優れた機器や、実用的なトライアルと検証に基づいて選ばれる測定ツール、そしてオペレーターと環境の安全性を維持する最も厳格な対策とともに測定を行うためのシステム設計が求められます。
マーポスは、自動車や蓄電池の主要メーカーに、セル、モジュール、バッテリーパックのどのテストでも満足いただけるようなテストベンチを提供する機会を得ました。納入されたソリューションでは、当社グループの実力が横断的に統合されていることがわかります。例えば、組立作業、ケースの変形を検出する寸法測定、化学的な想定外の現象のよくある兆候、電気テスト用電極の接触、ケースの完全性を確認するための電解液スニファー、異常を識別する冷却回路のリークテストなどです。
このように、マーポスは世界の工業界がその実力や能力を発展できるように支援するパートナーとして、工程の改善、製品の品質や性能の向上、目標の達成を後押しし、さらには信頼性の面でも同じ利益をもたらすように後押しするためのサポートを提供しています。