製造業における切削加工精度の向上に伴い、非常に複雑な形状の工具がより求められるようになっており、工具に対する要求も0.1mm以下など、より小さくなっています。そのような背景から、多くの場合、従来技術を用いた工具の計測では十分とはいえません。
- タッチ式のツールセッターは、測定サイクル中に工具が破損する可能性が高いため、小さな工具には適していません。;
- レーザー式のツールセッターの場合、工具の形状や工具径とレーザービーム径の比率によって精度が異なるため、微細加工の領域では要求精度を保証することができません。実際、工具とレーザーの小径がほぼ同じ場合、あるいはボールチップとフラットチップのように刃先の形状が変わると、正確に測定することができなくなります。
精度を向上するにはどうすれば良いでしょうか?
マーポスは、光学分野における数十年の経験を生かし、完全に自社で設計・製造したCCDカメラを搭載した新しいビジュアルツールセッター(VTS)製品群を開発しました。
なぜ光学技術を採用するのか?それは、従来のツールセッターが持つ課題を克服し、非常に複雑な形状の工具でも計測可能な、他では実現できない計測理論と精度を実現できるためです。
さらに、さまざまな業界で培った光学技術の知見を結集することで、従来の金属切削加工だけでなく、半導体、バイオメディカル、セラミックスなど、新たな成長市場にも最適な製品を展開することができます。
新型VTS SF-45 - 性能をそのままに小型化
マーポスは、新型の非接触撮像式カメラツールセッター VTS SF-45を発表しました。新設計においても、業界最高水準の再現性と精度はそのままに確立されています。そして、小型化された新モデルは、工作機械内部の限られたスペースへの対応が可能になりました。
VTSの製品ラインアップは、中型のWF-85に加え、今回のSF-45、さらに2023年にはWF-170を計画しています。
たゆまぬ製品開発により、VTSシリーズはより柔軟性が高いものとなり、多様な工具を搭載する様々なタイプの工作機械に組み込むことができるようになります。
特長・利点
VTSは、投影の原理を利用しています。ライトを当てられた物体がカメラに影を落とし、その形状を利用して工具長、静的・動的直径、TIR、エッジの半径など、多量の情報を一瞬で取得することができます。
0.1 µmの分解能は、直径10 µmの工具でも0.2 µmの優れた繰り返し精度を維持しながら計測することが可能です。
VTSは工具を最高速度で回転させながら撮影します。そのため、オペレータはスピンドルを減速させずに、工具段取りの時間を短縮し、測定精度を向上させることができます。
さらに、VTSはフロントライトによる工具表面の分析が可能です。オペレータはPCのモニター上でライトが当たった表面を確認し、刃先の完全性を評価し、工具の履歴を記録し、損傷を事前に確認することができます。
VTSシステム用のソフトウェアはGUIを備えており、工作機械のCNCで取得した最新の測定結果を表示し、手動測定要求を管理、オペレータに工具表面の表示し、VTSパラメータの制御を行うことができます。VTS用のソフトウェアは、マーポスのタッチスクリーンPC(NEMOまたはMerlin+)に組み込まれているほか、WindowsまたはLinux PCによるスタンドアロンで利用できます。
過酷な環境での測定精度と耐性を両立
VTSは二重の保護システムを備えており、過酷なマシン環境(IP67)でも動作するため、機械の加工室内に設置することが可能です。このように、工具が実際に使用される条件下で計測により、より正確な計測が可能です。保護システムの構成は以下の通りです。
- VTSが撮影を行っていない時に光学レンズを覆い、保護するためのエアシャッター
- シャッター開放時にレンズをゴミや冷却水から守るエアカーテン