Leak B-TRACER は、電解液トレース技術による封止済みバッテリーセル向けのリークテストに特化した新しい半自動ステーションです。
充電式リチウムイオンバッテリーは、現在 E-モビリティ市場、特に電気自動車で使用されている新世代のバッテリーです。
電解液の損失を防ぐためには、バッテリーを完全に密閉することが必須です。電解液は多くの場合、周囲の湿度と接触すると有毒な物質を生成し、セルの正常な機能を損なう可能性がある引火性溶媒で構成されています。
リークテストがバッテリーセル製造において重要な工程となるのはこのためです。
従来の手法では、セルに電解質を充填して密封する前にトレーサーガスとしてヘリウムを使用し真空チャンバー内でテストがされていました。ヘリウムがバッテリーセルに封入され、真空チャンバーに接続された質量分析計が不良品セルの漏れを検出して定量化する方法です。
ただし、このテスト方法では完成して密閉されたセルには適用できません。
電解液トレース技術は、工程の最終段階、つまり電解液の充填と封止完了後に、形成と脱気の前後でセルをテストできるように開発された、マーポスの新しい手法です。セルを真空チャンバーに投入すると、漏れが発生した場合に揮発された溶媒の成分を最適な質量分析計を用いて、漏れとして検出し定量化することができます。
Leak B-Tracerは、組立工程のさまざまな段階で数種類の密閉型バッテリーセルのリークテストを行うことに特化し、簡単に再調整できる半自動ステーションです。
テストするセルの数と種類は、下部トレイ2つを手動で組み替えることで、簡単に変更できます。これにより、Leak B-Tracerは角型、円筒型、ボタン型、パウチ型などあらゆる種類のセルをテストできます。
さらに、このシステムはあらゆる種類の電解質を容易に対応できます。原子質量単位（Atomic Mass Unit, AMU）スキャン法を用いることで、溶媒組成を知らずとも正しいAMU値を簡単に特定できます。
Leak B-Tracerには、マーポスの「高速応答システム」ソリューションが備わっています。このソリューションは、Merlin Plusに接続された質量分析計と、測定サイクルの管理およびテストデータ保存用のマーポス「SOLT」ソフトウェアで構成されています。
IPCのローカルストレージには、テスト実施日時、結果（合格または不合格）、実際のテスト圧力値、リーク値、およびテストパラメータ（テスト圧力および不良判定閾値）を保存できます。
この設備は、プロトタイプやパイロットラインでのリークテスト、抜き取りでのオフラインテスト、SPC分析、量産工程で生じた不良品の再テストなどに使用できます。
マーポスの電解質トレース技術とオートメーションに関する専門知識を組み合わせることで、これらをバッテリーセル量産ラインに組み込むためのソリューションを提供することが可能になり、より厳しいサイクルタイム要件を満たすことができます。